はなの読書記録

漫画、時々小説の感想置き場

『SLAM DUNK』 感想1

前の更新から一か月以上もあいている…。忙しかった、というのは言い訳。

さて気づいたら6月を迎えていましたので、今回は名作『SLAM DUNK』の感想をば。

 

・『SLAM DUNK』 井上雄彦

 

まずどうして今回『SLUM DUNK』を唐突に語りだすのか、というところから。

なぜなら今月、『SLUM DUNK』が新装版になって帰ってきてくれたからだ。久しぶりに井上先生が描いたメンバーたちを見られる幸せ…。店頭に並ぶ湘北メンバーを見て途端に目が潤んでしまった。何も知らない方たちからすれば、は?と思うだろうけれども、これはすごいことなのである。

『SLUM DUNK』のファンにとっては、彼等があの日負けて、そこから再スタートをきった(これは「黒板アート」の話も含むのですが)、というところで時が止まったままなのだ。私の中ではまだ花道はリハビリをしているし流川は日本代表として遠征に参加しているし、ゴリと木暮さんは受験勉強を頑張っていて三井とリョータは新チームのレベルアップに大忙しで沢北なんかはそれこそアメリカに着いたばっかりだ。

IHが終わってから、連載が終わってから、ずいぶん時は経ってしまったはずなのに、私の中の彼等はいつまでたってもあの時のまま今もどこかでバスケを楽しんでいる。それはとっても嬉しいはずなのに、すっごく寂しい。だってあんなに輝いている君たちをもう見ることができない。きっと大きな成長を遂げて、誰もが驚くような活躍をこれから見せてくれる君たちを、そのそばで一緒に応援する事ができない。私の中で皆の時が止まったままだ。これからもずっと変わらず大好きなのに、君たちの未来を何も知らないまま自分だけが勝手に成長しているみたいで、望んでもいないのに自分自身が君たちから遠ざかっていくみたいで、それがものすごく悲しい。

そんな(ちょっと気持ち悪い)気持ちを抱えた私の目の前に、井上先生が新しく描いた彼等がそこにいる。ああまだ君たちはちゃんとそこにいるんだねってそう思ったらなんか泣けたのです。っていう涙の理由。

 

そもそも自分はスラダンをリアルタイムで見られなかった世代です。だからスラダンは名作、有名ってことはわかってるんだけど結局手は出していなかった。でもある時ふと「そういえばスラダンって最終回どうなるわけ…?」って疑問に思った。たまにやるテレビ番組、国民一万人が選んだアニメ総選挙!みたいなので絶対スラダンはランクインするのですが、なんかどうも最後が曖昧な感じで終わって出演者が花道は~とか、すっげえ好きでした!みたいな感想を述べてはい終わりって感じじゃないですか。だって『タッチ』なんかは嫌でも最後の展開がわかるのに。それで気になって完全版を大人買いしたのがスラダンとの出会い。本当に買ってよかった。スラダンのある世界に生まれてきてよかった。井上先生ありがとう!!!!!

「友情 努力 勝利」ジャンプの鉄則じゃないか、ただの王道漫画。なんて言われたらまあその部分は否定できない。だって本当に「友情 努力 勝利」だし。

でも「友情」はちょっと違う気がしなくもない。だって湘北のメンバーたちは普通に出会ってたらきっと何の接点もないまま生きていきますよ。会話をすることさえなかった。そんな彼等が「バスケが好きだ 勝ちたい」ってその気持ちだけで肩並べてる。湘北っていうチームは、というかゴリがキャプテンをして木暮さんが副キャプテンであとから三井が戻ってきてくれたあのチームは期間にしてわずか5か月もないんです。「奇跡の世代」ならぬ「奇跡のチーム」なんです。あの6人が同じユニを着ていた瞬間がどれほどに眩くて尊いか。

そんな彼等の活躍を今なら新装版で読めます。ぜひ買おう。