初めての投稿 『pink』感想
初めてはてなブログに記事を書いてみる。
これは先にも書いてあるとおり、自分の読書記録であって、気が向いたら好きな漫画なんかの感想を書いてみようと思う。
ほぼ漫画の感想、たまに小説の感想なんかも載せるかもしれない。
せっかく初めて記事を投稿するわけだから、このブログの簡単な趣旨だけを書いていてもいつか見返したときつまらないなどと将来の自分に思われるのも癪なので、何か一冊感想を書いてみようと思う。
物は試しってやつだ。
しかし、自分の忘備録用に作った簡単なブログとはいえ最初の一冊を選ぶのは難しい。この作品もいいし、あれも捨てがたい。そうやって本棚の前を行ったり来たりする。自分はどうしても少年漫画、特にスポーツ漫画が好きなのでバスケ漫画の名作に手を伸ばしかけたが、この記事を書いてる時間が夜なので、もう少ししっとりした内容のものにしてみる。あのバスケ漫画はきっと今年の六月あたりにまた触れるだろう。
さて夜なのでしっとり、といってみたけれど、この漫画をしっとりなどといった言葉で表していいか、そう聞かれたら正直Noと言わざるを得ないかもしれない。ただ自分はこの作品を夜に読んで、何らかのエネルギーをもらえることが多いので選んでみた。
・『pink』 岡崎京子
みたいなリアクションが得られること確実。数ある岡崎京子の作品の中でも屈指の名作だと思う。
主人公のユミちゃんはOLで、ホテトル嬢で、それで好きなもの(ワニ)と暮らしている一見普通の女の子。普通の女の子が普通に狂って普通に転落している。しかも彼女は落ちていることに気づいていない。そんな作品だ。
こんな作品のどこから何のエネルギーをもらえるのかと思うかもしれない。自分も正直何のエネルギーをもらっているのかわからない。ただそれでも自分はベッドの中でこの漫画を読んで明日も頑張ろうと思って目覚ましをかけて寝るわけだ。
特に始まりのエピソードが好きだ。
仕事終わりにホテトル嬢をしてその合間に薔薇なんか買ってみる。部屋に帰るとワニに餌をやる。それからお風呂に入って、ビールを飲んで、買ってきた薔薇を眺めて眠りにつく。
この日常と非日常の同居!
これを自分の周囲に置き換えて考えるのが楽しい。だって自分の知ってるあの子もその子も誰にしろ人には言えない秘密を持っている。まあユミちゃんはワニを秘密になんてしていないけれど。
ワニと一緒に暮らしてるユミちゃんだって昼間は普通にOLで、可愛いものが大好きで、ワニのために夜も働かないといけなくて、そんでもって明日の朝ごはんにゆでたまごを食べようと考える、なんだかどこかにいそうな女の子である。
岡崎京子の描く「どこにでもいそうな女の子」が好きだ。ここのポイントは「どこにでもいそうな女の子」であって「どこにでもいる女の子」では決してない。ワニと一緒に暮らしてる女の子がどこにでもいたらドン引きする。でもワニ革のバッグぶらさげた女の子のそのワニ革が実は昔飼ってたワニなんかだったらすごくぞくぞくするし、そんな現実は一生こない(ことを願う)。
少し話がそれてしまった。ユミちゃんの好きなところはたくさんあるが、このワニ革のバッグで南の島に行くのを楽しみにしているユミちゃんはほんのりサイコでいい。殺されたワニに謝ることを忘れないけれど、一緒に出掛けられることを楽しみにしている。人間って結構即物的だから。
そしてそんな夢みたいな南の島へユミちゃんは行けない。でもそれを知らないまま話は終わる。
このあとユミちゃんはどうしちゃったのかなあ。もしかしたらハルヲくんが死んだことを彼女が知ることは一生ないのかもしれない。ハルヲくんが来なくたってユミちゃんは一人南の島に行くのかもしれない。だってやっぱり即物的なので。
長々と書いてみたけどあらためてこの作品は救いがあるのかないのか曖昧だなと思う。そもそも救いなんてレベルの話じゃないのかもしれない。救うものもなければ、救われる人間もいない。だってユミちゃんはなんだかんだ生きている。
何が始まるのかわからないから、何が終わりかもわからない。
それでも生きているけれど、嫌なことや逃げ出したいこともあるけれど、でも楽しいことももちろんあるからまあそれでいいのではないだろうか。
なんてよくわからない感想で今日は終わり。だって眠くなってきたし頭ももう回らない。
次はなんか、ごはん漫画の感想でも書こうかな。